アトリエ雑記…肖像画職人の徒然草/170303
3月3日の朝礼のあとに、「雛祭」を歌うのが毎年恒例の行事だったが、その前に決って教頭先生からの注意があった。
「エヘン、エヘン、あーみんな、これから雛祭を歌う訳だが、いいか、これだけは言っておくけどな、歌の文句は最後まできちんと歌う事。決して変な替え歌を歌ったりしないようにな」
大体こんな調子なのだが、誰も聞こうとはしないし、先生も絶対に守らないだろうと知っていたから、言い方にも何となくしまりがないのだ。
教頭が壇を下りて、音楽の野沢先生が代って上って来て、もう一人の先生がオルガンの前に座ると、もうどこからかクスクスと忍び笑いが聞えて来て、野沢先生は、まだ歌が始まっていないのに、もう口をへの字に曲げて不機嫌な顔をしていた。
前奏のあと野沢先生の指揮のもと、全校生徒約2,000人の大合唱が始まった。
明りをつけましょボンボリに、お花をあげましょ桃の花、五人ばやしに笛太鼓、今日は楽しいへのまつり、
そして全員の大爆笑
それでも野沢先生と数人の先生方は、苦虫を噛み潰したような顔をしてニコリともしない。
結局、その年の雛祭の歌も、例年通り屁の祭になった。http://www.atelierhakubi.com/
- 著者: たちばな さきこ
- タイトル: どうぶつ村のごちそうごよみ・はる―ひなまつり・こどものひ
- 著者: 二階堂 黎子
- タイトル: ひなまつり―平安の優美漂う折り紙