アトリエ雑記…肖像画職人の徒然草/170301 | アトリエ雑記…肖像画職人の徒然草

アトリエ雑記…肖像画職人の徒然草/170301

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 【晴】
 公園の弓引場の西北の角には、敷地の真ん中に立つ大ケヤキの落葉が吹きだまって、ぶ厚いじゅうたんのようになっている。


 弓引場自体が、斜面を削って作られていたから、北を通る緩い坂道からは、落差が3mほどの崖になっていた。


 大ケヤキの枝は弓引場全体を被っている上に、東から北に巻いている道の上にも、右手の森からのびる椎やかえでの枝がかかっていて、全体に緑の屋根がかかっているような場所だった。


 落葉の吹きだまりに向かって、約3mの崖を飛び降りるのは、かなりの勇気を必要としたが、思い切って一回やってみると、その面白さのとりこになった。


 冬から早春にかけて、私達はその遊びをよくしたが、ある日の事、何回目かの飛び降りの時に、ほんの少しの油断から、着地点が手前になってしまい、落葉の積もりが薄くて、しかもや〃斜面になっている所に足をついてしまった。


 目から星が飛び出し、息が止まるほどの激痛にのたうっている内に、ちょうど太田市から遊びに来ていた甥を除いた全員が、とばっちりを恐れて逃げ去ってしまった。


 私は甥に家からザンマタ(洗濯の時に竿をかける道具)を持って来るように頼んだ。


 家に駆け戻って行く甥が、ザンマタを引きずって来るまでの間、私は落葉の中に身を沈めて、じっと痛みに耐えていた。


 甥が持って来てくれたザンマタを杖代わりに、そばで心配そうに私を見ている甥にも助けられながら、普段なら家まで数分の距離を30分近くかけて家に戻ると、家人のいないのを幸いに風呂場まで這って行き、桶に水を汲んで足首を冷やした。


 左の足首は見ても分かる程に腫れて来て、ズキンズキンと痛みが止まらない。


 叱られるのが嫌だったので、何とかごまかしてしまおうと思ったが、どうにも隠し切れないと思ったので、帰宅した母に恐る恐るケガした事を話した。


 てっきり大目玉を食らうと思っていたのに、母は意外にも私を叱らず、直ぐに隣のおじさんに頼んで、私を自転車に乗せると、自分も一緒に、浅間下の片柳骨つぎまで連れて行った。


 私は自分のケガが、思ったより重いのを、次第に増して来る痛みで知らされた。http://www.atelierhakubi.com/