アトリエ雑記…肖像画職人の徒然草/170225 | アトリエ雑記…肖像画職人の徒然草

アトリエ雑記…肖像画職人の徒然草/170225

 【晴】
 学校の行き帰りに道沿いの家を覗くと、ガラス戸越しに雛飾りが目に入って来た。

 (あ〃、もうお雛様なんだな)と、子供ながら季節の変り目を肌で感じ、何となく心がウキウキした。

 我が家にも以前は古いお雛様があったのだそうだが、私が産まれるずっと前に長女を水の事故で、続いて次女を病気で亡くした親が、そのお雛様を知り合いに譲ってしまったので、私は自分の家の雛壇飾りを見た事がなかった。

 二人の姉も、その事に別段不満がある様子もなく、当日に桜餅とあられが食卓に乗るだけの、ささやかな雛祭が我が家の習慣だったようだ。

 私の住む緑町は、とても古い町だったから、昔からの習わしや行事が、生活の中にしっかりと根付いており、早い家では2月の20日過ぎには、もうお雛様を飾っていたと思う。

 毎年、近所の仲間の家のどこかにおよばれに行ったが、正直に言うと、女の子の祭に招待されても、あまり楽しくはなかった。

 第一によそ行きの服を着て行かねばならないのも、あまり面白くなかったし、遊びのほとんどが家の中だったから、それも気に入らない理由のひとつだった。

 ただひとつ良かったのは、普段はあまりありつけない、珍しいお菓子や飲み物にありつける事と、帰りには沢山のお土産が貰えた事だった。http://www.atelierhakubi.com/


著者: 冷泉 為人, 西岡 陽子, 山埜 幸夫, 田中 久雄, 四方 邦〓
タイトル: 五節供の楽しみ―七草・雛祭・端午・七夕・重陽



著者: 井上 重義
タイトル: ちりめん細工 季節のつるし飾り―雛祭り・端午・七夕・お正月



著者: 酒寄 健治, 酒寄 豊子
タイトル: 日本の文化・真壁の雛祭り―酒寄健治・豊子写真集