アトリエ雑記…肖像画職人の徒然草/170214
【晴】《13日の続き》
あたりが薄暗くなり、職人達も引き上げて、人っ子一人いない河原にポツンと残された私は、とうとう諦めて家に戻る道をトボトボと引き上げるしかなかった。
いったいチビ達はどこに行ってしまったのだろうか。
もしやと思い、フジの小屋の中や、チビ達がいつも遊んでいた倉庫の中を覗いて見たけれど、やはりどこにも姿がなかった。
子供がいなくなったのに、当の親のフジは全く平気な顔をして、私と目が合うと、のんびり尻尾を振っている。
それが少し面白くなかったので「フジよ、お前は自分の子がいなくなったというのに、悲しくねえんかよ。冷てえ親だ」と文句を言っても、フジは私の手をペロペロと舐めたり、小屋の壁にパタパタと尻尾を打ちつけているばかりだった。
別に鎖で繋いである訳ではないので、小屋に入っているのが飽きたフジは、ノロノロと小屋を出て母屋の方に歩いて行った。
フジが仔を産んだ時はいつもそうなのだが、最初は毎日がとても楽しみで、その内一匹一匹といなくなる毎に悲しくなって、最後にみんないなくなると、そのあとの一週間位は本当に気が抜けてしまい、チビ達がいない生活に慣れるのが大変だった。
そんな事を、もう5回以上は繰り返したのに、今度もまた淋しい日が少し続く。
最初のチビ達は、結構近所に貰われて行ったから、時々遊びに行けるのでいいのだけれど、あとの奴らは皆遠くに貰われて行く事になり、その先に会いに行く事は出来ない。
そしてフジも、館林の知り合いに貰われて行き、次にゴールという名のシェパードが来るまで、我が家には犬がいなかった。http://www.atelierhakubi.com/
著者: グレン ドロムグール, Glenn Dromgoole, 井上 篤夫
タイトル: いぬのちえ
著者: 渡辺 真子
タイトル: 捨て犬を救う街
著者: 児玉 小枝
タイトル: どうぶつたちへのレクイエム
あたりが薄暗くなり、職人達も引き上げて、人っ子一人いない河原にポツンと残された私は、とうとう諦めて家に戻る道をトボトボと引き上げるしかなかった。
いったいチビ達はどこに行ってしまったのだろうか。
もしやと思い、フジの小屋の中や、チビ達がいつも遊んでいた倉庫の中を覗いて見たけれど、やはりどこにも姿がなかった。
子供がいなくなったのに、当の親のフジは全く平気な顔をして、私と目が合うと、のんびり尻尾を振っている。
それが少し面白くなかったので「フジよ、お前は自分の子がいなくなったというのに、悲しくねえんかよ。冷てえ親だ」と文句を言っても、フジは私の手をペロペロと舐めたり、小屋の壁にパタパタと尻尾を打ちつけているばかりだった。
別に鎖で繋いである訳ではないので、小屋に入っているのが飽きたフジは、ノロノロと小屋を出て母屋の方に歩いて行った。
フジが仔を産んだ時はいつもそうなのだが、最初は毎日がとても楽しみで、その内一匹一匹といなくなる毎に悲しくなって、最後にみんないなくなると、そのあとの一週間位は本当に気が抜けてしまい、チビ達がいない生活に慣れるのが大変だった。
そんな事を、もう5回以上は繰り返したのに、今度もまた淋しい日が少し続く。
最初のチビ達は、結構近所に貰われて行ったから、時々遊びに行けるのでいいのだけれど、あとの奴らは皆遠くに貰われて行く事になり、その先に会いに行く事は出来ない。
そしてフジも、館林の知り合いに貰われて行き、次にゴールという名のシェパードが来るまで、我が家には犬がいなかった。http://www.atelierhakubi.com/
著者: グレン ドロムグール, Glenn Dromgoole, 井上 篤夫
タイトル: いぬのちえ
著者: 渡辺 真子
タイトル: 捨て犬を救う街
著者: 児玉 小枝
タイトル: どうぶつたちへのレクイエム